「火野 映司」というミニマリスト

最近、ちらほら「ミニマリスト」を自称している人を見かける。定義があいまいな言葉なので名乗るのは事由なのだが、あまりミニマルには見えない。 自分のイメージするミニマリスト仮面ライダーOOOの「火野 映司」のような人物をさすものだと勝手に思っている。

定職・貯金・住居も持たずに各地を放浪、彼の手持ちの資産はわずかな日銭と明日のパンツだけ、 長旅で幾度も修羅場を潜り抜けてきたことで得られた洞察力と落ち着き、持ち前の高い身体能力で日々を生き抜いていくあの姿こそがミニマルであろう。

母方の祖父に言われた「男はいつ死ぬか分からないから、パンツだけは常に一張羅を履いておけ」 という教えに従い、身だしなみとしてのパンツを大切にし、後は飢えない程度の小銭があればよい、という考えはミニマリズムの究極系だろう。

だが、彼は

元々金持ち政治家一家のボンボン

世界中の子供たちを救うため慈善活動や寄付を精力的に行っていたら、自分の行った寄付が内戦の資金に利用されて情勢が悪化

紛争地帯で仲良くなった女の子は目の前で殺され、地震武装勢力の人質に

政治家である実家の根回しで釈放されたうえ、「戦地を救った勇敢な政治家の息子」に仕立て上げられて実家の名声に利用される

という流れで無力感、罪悪感、絶望を経て己の命も顧みない自己犠牲に至っているのであまりまともではないのだろう。

自分がこの領域に到達できるとは思わないし到達する気もないが、「いけますって!ちょっとのお金と明日のパンツさえあれば」という考え方は物欲にまみれた自分を見直すうえで参考になる。