話題の「ドコモ光」のわかりにくさ

auスマートバリューへの対抗策として打ち出したドコモ光。フレッツ光契約中のドコモユーザ向けの割引サービスとしてドコモユーザに期待されていたのだが、29日の発表以来「わかりにくい」と大好評だ。どれだけわかりにくいauスマートバリューを比較しながら確認してみた。

両者の比較

それぞれのサービスにどのような違いがあるのかまず確認する。

auスマートバリューの場合

対象の固定通信サービス(kddi光とかケーブルテレビのネット回線とか)+auの対象プランの契約を組み合わせて契約するとauの利用料から月934円(+条件を満たせば2年間の間さらに476円)割引される。 例えば「自宅でj:comの回線を利用している人がauスマホをデータ定額サービスつけて契約すると最初の二年は1410円/月、三年目から934円/月だけauの利用料金が割引される」って感じ。

ドコモ光の場合

ドコモ光+ドコモの対象のデータ定額サービス(パケットパック)を組み合わせて契約するとドコモの利用料から月500~3200円割引される。 例えば「自宅でフレッツ光の回線を利用している人がフレッツ光をドコモ光に転用し、ドコモのスマホをパケットパックつけて契約すると500~3200円/月(契約形態により変動)だけドコモの利用料金が割引される」って感じ。

ドコモ光の問題点

上記の記述だけでもドコモ光の方が明らかにわかりにくい。以下にわかりにくい点をいくつかピックアップして解説してみる。

「ドコモ光」は「フレッツ光+ドコモのスマホを同時契約すると適用される割引」ではない!

まずここが一番混乱を招きそうな点。

よくあるご質問 | ドコモ光 | NTTドコモ

にある通り、

Q.ドコモ光とはなんですか? A. ドコモ光は、お客様がご自宅やオフィスにおいて、最大通信速度1Gbpsの高速通信を使い放題でご利用いただける光ブロードバンドサービスです。「プロバイダ料金一体型」では、光ブロードバンドサービスに加えて、ISPサービスも一括して提供いたします。また、ドコモの携帯電話と組み合わせることによりおトクにご利用いただける新たな料金プラン「ドコモ光パック」も提供いたします。

ということで「ドコモ光」は自宅の固定回線サービスである。実はauスマートバリューと比較されるべきはドコモの光回線と携帯電話を組み合わせる料金プラン「ドコモ光パック」ということになる。

(割引とは話がずれるが)ドコモ光の提供者がNTT東西ではなくNTTドコモだということは注意するべきだろう。つまり転用すると以後のサポートはNTT東西ではなくNTTドコモから受けることになる。実際の回線はNTT東西の光回線のままなので品質が変わるわけではないのだが、契約相手が変更になる、ということは意識しておくべきだ。(ドコモとしては「窓口を一本化できてお客様の利便性も向上」と考えているようだがここをまとめてうれしいを感じる利用者がどれだけいるのだろう…)

料金表に「携帯電話と関係ない」ドコモ光の料金がでてくる

それぞれのサービスに興味を持った利用者が「どれだけ割引されるんだろう」と調べようとした場合、

auスマートバリュー | 料金・割引:スマートフォン・携帯電話 | au

は「ネットとセットでスマホがお得」や「2年間最大\1,410(税抜)OFF」と「組み合わせるとスマホがこれだけ安くなります!」と強調しているのに対し

ドコモ光 | NTTドコモ

だとあまり大きくない文字で「家のネットと家族のスマホがセットで最大3,200円/月割引※1※2」と書かれている。イマイチピンとこない利用者が

料金プラン | ドコモ光 | NTTドコモ

で割引額を確認しようとするといきなり「ドコモ光」の料金が出てきて「???」となる(前述の通りドコモ光は割引サービスではなく固定回線サービスなので固定回線の料金表が出てくる)。携帯電話の割引サービスを見に行って固定回線の料金表を見せられてはポルナレフ状態となるのも致し方ないだろう。

ドコモ光の契約内容とパケットパックの組み合わせで支払額が変わる

ドコモの光回線と携帯電話を組み合わせる料金プラン「ドコモ光パック」のすごいところは「自宅のネット回線の料金と携帯電話の通信料金の合計」という利用者からみると全然関係ない組み合わせで料金が決まっているところ。料金表を見ると固定+携帯の両方の通信料金の合算が出ているのですごく高く見える。まったく直観的ではない。

割引、という点にのみ着目すると実はドコモ光のどのプランを契約しても割引額にほぼ影響はない(ドコモ光の月額料金は変わる)。パケットパックの上位のプランの時のみ戸建かマンションかで100~200円変動する。わざわざこのために引っ越す人はいないだろうから利用者に選択の余地はない。プランAかBか単独かは割引額に影響しない。ドコモ光のNTT東西からそのまま持ってきましたという料金体系も、マンションか戸建かでちょっぴり料金変えるとか、本気で頭どうかしてるんじゃないか、というぐらい直観的ではない。(本当は集合住宅で戸建のプラン契約も可能な場合もあるがそれを考えるとさらにややこしいので無視する。)

割引額を決定する大きな要素は契約しているパケットパックだ。可能な限り割引額の一覧を単純化すると以下のようになる。

光シェアパック30 (戸建の場合)3,200円/月
(自宅がマンションの場合)3,000円/月
光シェアパック20 (自宅が戸建の場合)2,500円/月
(自宅がマンションの場合)2,400円/月
光シェアパック15 1,800円/月
光シェアパック10 1,200円/月
光データLパック 1,000円/月
光データMパック 800円/月
光データSパック 500円/月(1年間のみ。2年目から0)
光らくらくパック 500円/月(1年間のみ。2年目から0)

なるほど、販売の現場にも利用者にも理解してもらう気がないんじゃないか、というぐらいまったく直観的ではない。

auは条件を満たす回線の数だけ割引されるが、ドコモはパケットパックの契約数だけ割り引く

これはドコモ光の問題というよりドコモとauのプラン設計の差なのだが、auは回線の数だけ割引になるのに対し、ドコモは回線数ではなく「パケットパックの契約数」だけ割引になる。

例えば家族四人でまとめて契約している家を考えると、ドコモの場合は四人まとめて15GB/月使える契約をし、四人の利用量が15GBに納まるように使う、という考え方。一方auは一人ずつ月に2GB、3GB、5GB、5GB(計15GB)に契約をし、融通したい場合はデータギフトで残量が多い人から少ない人に送る、という使い方になる。この例えだけだとドコモの方が余計な手間がかからず便利であるが、これまた今回の割引の理解を難解にしている。

実はauもドコモも「利用料金が割引になる」と言っているのは正確には「(指定した)パケット利用料金から割引」を行う。つまり上記の例だとauは四人それぞれのパケット利用料から割引されるが、ドコモの場合は四人分をまとめて契約した「パケットパック」が割引となるわけだ。

まとめ

ざっくりまとめると

  • 「ドコモ光」は割引サービスではなく固定回線サービス
  • 「ドコモ光パック」は固定回線の料金と携帯電話の通信料金のパック料金
  • 割引額は「どのパケットパックを契約しているか」と「自宅が戸建かマンションか」で決まる
  • 割引となるのは「パケットパックの数」なので携帯電話の回線数と一致しない場合がある

となる。想像以上にわかりにくかった。